プラスチックトランプとペーパートランプ
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BICYCLEでしょうか。
マジックの解説書には「上下対象の模様で、紙製のしなやかなすべりの良いカードを使え」とよく書かれてます。
確かにそうですよね。紙製で弾力のあるしなやかなカードは綺麗に広げられて扱いやすく、マジックには大変都合が良いです。
では「プラスチック製」はどうなんでしょう。
実はトランプゲームに使用する場合、プラスチック製トランプのほうが紙製よりも圧倒的に都合がよく使いやすいのです。カジノやカードゲームの大会でもよく使用されています。
カジノで使われるほどの「良い」トランプがマジックに使えないはずない!
と思いましてカード別使用感にプラスチック製カードを載せます。
紙製のカードは確かに文句のつけようが無い質ばかりですが、世の中には高品質なプラスチック製トランプ(やたら値段が高い)もあるので、一応触ってみようじゃありませんか。
でもそれらの使用感を載せる前に、何故プラスチック製トランプがカードゲームに使われるのかを調べてみましょう。日本ではそれほど持て囃されていませんが、アメリカのカードゲーム文化にとってポーカーに使うカード1つ取っても色々あるようです。
まずはカードゲームとトランプの関係、それからプラ製トランプの特徴を。
興味ない人や使用感だけを読みたい人にとっては大分趣旨の違う内容なので詰まらないと思います。ご覧になる方は↓からどうぞ。
[カードとゲーム]
トランプゲームというとババ抜き、七並べ、大貧民、ダウトなど。
誰でも一度は遊んだことがあると思います。
海外ではその「遊び」がギャンブルになります。ちょっとした勝負なのです。
日本では作れませんが欧米にはギャンブルが大きなビジネスとして存在します。
それは「カジノ」。現金をチップに交換し、そのチップを賭けて遊ぶのです。
カードゲームに対する親しみはカジノの有無にも深く関わっているように思えます。
日本では「トランプ遊び」ですが、向こうでは「カードを使ったギャンブル」なのですからね。
大人の遊びです。
カジノと聞いて真っ先に思い浮かぶのはラスベガス。
ギャンブルをはじめとした娯楽を楽しむために作られた街。
ホテルも沢山あります。
ちなみにヨーロッパには紳士的な雰囲気のカジノが多いそうです。
貴族社会で発展した経緯があるせいかもしれませんね。
(画像はS-Hosino.comより)
カジノでのカードゲームは大きく2つ、「ポーカー」と「ブラックジャック」です。
「ポーカー」に関してはアメリカで進化してきた世界に誇れるカードゲームといっても過言ではありません。大人になって楽しめるカード勝負です。
「ポーカーフェイス」なんて言葉があるくらい、このゲームでは相手の表情・仕草もキーとなります。ブラフの掛け合い、手札が弱くても相手を騙して大金賭けるのです。
ポーカーについて調べている途中で観たPoker After Darkという番組では、弱い手札で勝つ場面が少なくありません。
ポーカーとは、運と、そして実力が程よくかみ合った非常に高度なカードゲームなのです。
また、ポーカーにはWorld Series of Poker(WSOP)、World Poker Tour(WPT)などの大規模な大会が存在し、毎年世界大会がTV放映されています。
ちなみに大会の優勝賞金は億単位。なかなか夢の広がる額ですが、大会(本戦かな?)参加費がウン十万するそうです。
現在カジノや大会で主流のルールは「Texas hold 'em」(テキサス・ホールデム)というルールですが、ポーカーのルールは優に100種以上存在します。何でそんなにあるのか不思議ですが、アメリカ、ギャンブル、ポーカーが切れない縁の証拠でしょう。
カードゲーム、特にポーカーゲームは、アメリカに深く根付いたカードゲームなのです。
何と言っても世界最大級トランプ製造会社がアメリカにあるということが、カードゲームと人々の深い繋がりをよく表していると思います。
[プラ製カードの必要性と利点]
欧米でカードゲームが日本よりも親しまれていることは事実ですが、U.S.P.C社の高品質な紙製カードがあるにも関わらず(もちろんそれら紙製も使用されていますが)プラスチック製トランプが使われるのは何故でしょう。プラ製にはどんな利点があるのでしょうか。
スポーツの大会で使われる道具にはきちんと規格があるように、ポーカーの大会で使われるトランプにもそれなりの品質が求められるのは当然。だってお金賭けてますからね。
カジノやポーカーの大会で使われるプレイングカードは、あのBeeブランドやBICYCLEブランド、そして高品質なプラスチック製トランプが多いようです。
BeeやBICYCLEは確かに質がいいから納得ですが、プラ製を使うのは何故でしょうか。
それはプラ製が、手荒に扱われても次のゲームに使える耐久性と、それに伴う不正防止の両方を兼ね備えているからです。
紙製のカードをカジノで使用するときは数回使用後に新しい物と取り替えます。
それは真剣勝負に水を差す「不正」を防止するためです。
確信犯的に不正を働くことは殆ど無いでしょう。
しかし、”偶然にも”カードに印が付いてしまって相手の手札が何か分かってしまうこともありますね。プレイヤー全員が手を洗っているわけではありませんし、テーブルが常に綺麗だとは限りません。
汗で濡れてしまうこともあるでしょうし、カードが曲がってしまうこともあるのです。
耐久性のあまり無い紙製のカードでは容易にそれが、カードマジックで言うところの「マーキング」が可能です。
では実際のゲームでカードがどのように扱われるか、世界大会で使われているポーカールール「Texas hold 'em」を例にとって紙製カードとプラ製カードを比べて見ましょう。
このルールでプレイヤーが使うカードは2枚だけです。
ディーラーから各プレイヤーにそれぞれ2枚のカードが配られ、プレイヤーは自分の手札を確認します。この手札を見るときは我々がゲームをする時のようにお上品に手に持ちません。
隣の人に手札が見えてはいけませんから、出来るだけ小さくめくります。テーブルに配られた状態のままグイッとめくってインデックスだけをチラッと見ます。だってお金賭けてますからね。
ポーカー用のフェイスデザインが作られるのも納得ですね。
で、こうして曲げて見たカードからそのまま手を離すとこうなります。
これで不正が出来るわけではありませんが、プラ製の場合、曲げたカードを戻す動作は不要ですね。次はもっと直接的にマーキングした場合を比べてみましょう。
Texas hold 'emではプレイヤーに配ったカードを集めて何ゲームも繰り返します。
その途中でカードに爪でマークを付けたとします。実際にやれば怖い目に遭うこと必至です。
どちらも結構深く引っ掻いたつもりです。
まずは紙製。
深くやると元通りには戻せなくなります。
出来る限り引っ掻いた後が分かるように撮っています。見えますか?
また、ディーリングが多い場合もカードの受けるダメージは大きくなります。プラ製であれば耐久性があるお陰で紙製よりも遥かに多いゲーム数で使用できます。
やわらかいプラスチックですのでかなり乱暴に扱っても折れたり曲がり癖が付くことはありません。こんなに曲げても大丈夫です。
例えば、長く使って汗や汚れですべりが悪くなり、カード同士がくっ付いてしまうようになっても、湿ったタオルで拭くか、単純に水で洗ってしっかり乾かせば新品同様に戻ります。
ただし洗う場合は注意が必要です。
・洗剤を使わない
・熱いお湯で洗うと変形するのでお湯洗いは避ける
・洗濯機に入れるのはNG
・乾燥する時直日光を避ける
上記を守って洗えば何年も使い続けることが出来るのです。
[プラ製カードの使い道]
さて、プラ製カードがカードゲームの世界で大変便利なことは分かりましたが、マジックには使えるのでしょうか。
プラ製カードについてよく言われる「静電気でカード同士がくっ付く」ですが、これは100均トランプや安いプラスチック製トランプでないのなら当てはまりません。
高品質なプラ製カードの表面はきちんと加工され、むしろカード同士がくっ付かないようになっています。少しザラザラしているのです。
静電気はクリアしました。でもマジックで使うには「裏模様」が大切。
白枠ありの上下対象は紙製と同じくらい良いデザインが多いです。
任天堂製のプラ製カードはデザインが沢山ありカラフルで非常に綺麗です。
続いて「しなやかさ」です。
紙製に比べて柔らかく、ペラペラしているように感じられます。
ですが深く曲げるとビンッと戻るくらいの弾力はありますから、弾力が全く無いわけではありません。これは好みによるでしょう。
次、「すべり具合」
これはダメです。表面がザラついているため、摩擦が大きくリボンスプレッドもファンも出来ません。これがクリアできるプラ製があったとしても、それは恐らく静電気の餌食でしょう。
プラ製である以上すべり具合は紙製に勝てない気がします。
プラ製カードの、裏模様、しなやかさ、すべり具合はざっとこんな感じです。
使用感用に載せるプラ製カードはKEM、DA VINCI、GEMACO、COPAGなど。
プラ製カード?へっ!
と軽く見下していましたが、トランプとしてかなり良い品質でしたよ。
ただ、マジックに使えるかは、、、、まぁ、、ね。