カード別使用感 Wynn Deck(brown jumbo index)
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さて、今日のカードは「Wynn Deck」。これはなかなか良いカード。
大分長い感想になります。写真も多いです。ちょっとしたレポートみたい。
書いていて疲れました・・・・。
読むのがメンドクサイ方のために結果からいいますと、「とても良い」です。
[追記]
国内オークションでも出品され始めましたが、ちょっとおかしい価格が付いているので、欲しい方、よく考えて購入すべきです。
2008年5月現在までにT11での発売は終了、国内のショップでも少量販売されましたが直ぐに品切れの状態になっているのが現状のようです。
[追記]
WynnDeckの赤と青のジャンボインデックスはこのブラウンと同じ質感です。
ブラウンはその色が希少のため高価格がついていますが、赤と青はまだ安く購入できます。
まずカジノで使われるカードについて少々。
カジノで使われるカードは曲がりにくく、滑りもよく、品質は最高のものです。
大抵のカジノではU.S.P.C社製「Bee」ブランドや「Aristocrat」ブランド、他カード製作企業でも特に質の良いカードが使用され、通常はバックにそのホテルやカジノの名前が印刷されています。
Beeのダイヤモンドバック柄ではなく、ホテルの名前やロゴのオリジナルデザインで作られたカードも多く、特定のホテル・カジノ専用のカードは多数あります。
通常、カジノ内で使用されるカードは使い捨てです。汚れが付いたり折れ曲がった物をそのまま使用すると、裏から見てもどのカードか分かってしまうことがあるためです。
そのため何回かゲームで使った後はポイ。捨てられたカードはコーナーを丸く切られるか、インクで印を付けられるなどして処分されます。
捨てられたカードに細工され、持ち込まれるのを防ぐためです。
処分されたカジノデックはお土産として買えたり、ディスカウントショップでお安く買えたりしますが、新品状態ではないのでマジックには使えません。
しかし、稀にカジノの倒産やデザインの変更などで新品の在庫が販売されることがあり、それがマジシャンに愛用されることもあります。
有名な「Jerry's Nugget」や「Golden Nugget」はカジノで使用されたカードです。
このカードの品質に惚れこんだマジシャンは多く、現在では入手困難ですが、今でも使っているプロはいます。
オークションでないと手に入らないでしょう。
今回のWynn Deckもその類のカードです。
「Wynn」というホテルのカジノ専用に作られ、デザイン、インクの色、バック柄など通常のBeeとはかなり違います。
このジャンボインデックス・ブラウンのWynnは、Theory11が新品を買い付け1日250個までと制限つきで販売していました。現在は品切れですが、来年また入荷するんじゃないかなぁと僕は勝手に思っています。
[追記]
毎回3~4分で売り切れています。
08年4月にT11での発売は終了しました。
僕が確認している色はブラウン、レッド、ブルーの3種です。手元にあるのはブラウン。
レッド、ブルーは届き次第写真を追加しておきます。
[追記]
WynnDeckのRed&Blueが届きました。別ページで紹介してあります。
ちなみに、Theory11によって発売される以前、ネットオークション大手「eBay」で1デック50ドルの値段が付いたこともあるそうです。
「Wynn Deck」
Theory11やDan&Daveのショップで発売されています。
日本のショップでは
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08年4月にT11での発売は終了しました。
「第二のJerry's Nuggetか」、とも言われていますが、現在は普通に供給されているデックなので、オークションに出してもそんなに凄い値段はつかないでしょう。
でもこの後どうなるか分からないので買うなら今のうちに。
ジョーカーは完璧なデュプリケイト。バック柄はホテルのロゴが書かれたシンプルなデザインです。お洒落ですね。
通常のBeeとの違いを見ていきましょう。
左側がジャンボインデックスのBrown Wynn、右側が通常のBeeです。
ジョーカーとスペードのA
また、Wynnで使われている赤いインクはすこし違います。
「ワインレッド」のような暗めの赤が使われており、渋い感じに仕上がっています。(Beeのカジノ仕様のカードは暗めの赤インクが使用されます。これは一説によると監視カメラで識別しやすいからだとか)
さらに、絵札と数札ではインデックスの位置が違います。
開封直後のすべり具合
「★★★★★☆☆☆」(8)
BICYCLEは「滑りすぎる」と思っていますが、Bee同様、Wynnも適度なくらい。
裏模様の見た目
個人的に「★★★★★☆☆☆☆」(9)
マジック用として「★★★★★☆☆」(7)
非常にシンプルなデザインです。ホテルのロゴ入りですがカッコいいですね。
持ってみると結構渋いです。僕は好きです。白枠で縁取っているのでマジックにも使えます。
非常に落ち着いた色で、「かなり深い色合いのブラウン」です。レッド、ブルーも同じように深い色のようです。
落ち着いた、大人っぽい雰囲気に仕上がっています。BICYCLEなどのように細かなデザインではありませんがどんなシーンでも使えるでしょう。
マジック用として、ロゴの部分以外はベタ塗りなのでカラーチェンジした際など非常に映えて見えます。しかし、白いゴミが付くと目立ってしまうというデリケートなデザインでもあります。
スプレッドのやり易さ、広がり具合
「★★★★★☆☆」(7)
”バターを塗ったような”という表現は、確かBICYCLEのブラックタイガーデックに対して誰かが言った言葉でしたが、このデックにも言えるでしょう。
別にカードがヌルヌルしているわけではありません。むしろカードの表面を撫でてみるとBeeよりスベスベしています。
思い違いかもしれませんが、僕にはそのように感じられました。なでなで。
広がり具合も丁度いいですが、インデックスが大きいので小さく広げると数字とマークが完全には見えません。
リフルシャフルのやり易さ
「★★★★★☆☆☆」(8)
Bee同様、BICYCLEに比べ少々硬く感じました。しかしシャフルする際は丁度良い硬さです。
滑りすぎることも少なく、親指の感触も滑らかです。非常にシャフルしやすいデックです。
ファローシャフルのやり易さ
「★★★★★☆☆」(7)
やり易いです。軽く滑らかにかみ合ってくれます。
カードの硬さ
「★★★★★☆☆」(7)
BICYCLEに比べ少々硬いデックです。Beeと比べても硬い気がします。
弾力も強く、曲がりにくく耐久性もあるのではないでしょうか。
エンボス加工の有無
有
表面加工は「CAMBRIC FINISH」です。
Red&Blueほどではありませんが、とてもツルツルスベスベしています。
何層構造か
3層構造になっています。
値段との釣り合い
何時でも買えるわけではありませんが、この品質でワンデック5ドルは破格でした。
総評
とても良いカードです。Beeの良いとこ取りのような感じですね。
Beeは弾力が強くディーリングがしやすいカードです。しかしデザインがとてもシンプルなのと、白枠がないことでマジックには使われません。
Wynnは、落ち着いた雰囲気の非常にお洒落で大人っぽいデザイン、白枠もあるのでマジックに使うには申し分ないデックです。
服装や自分の雰囲気に合えば、とてもカッコよく演じられるでしょう。
品質に関してはBeeやバンブルBeeとあまり変わりませんが、すこし硬めに感じました。
それとスベスベです。
唯一残念なのは絵札と数札のインデックス。チグハグ感が気になります。
ただしTheory11で購入したブラウンのWynnが特別仕様なのであって、レッド、ブルーは普通のインデックスのようです。
使い方やシーンにもよるでしょうが、現在のところ総合的にみてWynn Deckが最高です。
終わり。ふぃ、疲れた^^;
08年4月追記
[WynnBrownは第2のJerry'sNuggetになり得るか]
07年の終わりから08年の4月にかけて発売され続けてきたWynnDeckのBrown。
「第二のJerry'sNugget」などと言われた事もあります。
ですが、果たしてこのデックは本当にジェリーと同等の存在になり得るのでしょうか。
僕の至極個人的な見解からすると、多分、なりません。
何故ジェリーや、あるいはGoldeNuggetDeckがあれほどまでに持て囃されているのかというと、そのあまりに特徴的な品質が特定のジャンル(この場合はカードフラリッシュですが)に合致してしまったからだと思います。
その分野においてだけは、BICYCLEやTally-Hoで行うよりも遥かに使いやすいのです。
BICYCLEとジェリーやGoldenを天秤にかけた場合、フラリッシュの面ではジェリーGolden側に大きく傾くのです。得意分野がハッキリしているのですね。
さらに「マニアに広く認知された頃には在庫が極端に少なくなっていた」という点も、その希少価値を上げる大きな要素となったのでしょう。
WynnBrownはどうでしょう。
ジェリーやGoldenは紙質からして全く違いましたし、古い昔のカードですからこの紙質で作られるカードは恐らくこの先出てこないでしょう。
僕はBrownに、「Beeの使いやすさを向上させたカード」という感想を持ちましたし、事実、紙質・品質は良いものだと思います。
ですが、他のカードよりも際立って良いかというとそうでもないでしょう。
品質は素晴らしくデザインも非常に綺麗で使いやすいカードです。ただし紙質や品質がジェリーなどのように他のカードと劇的に違うことはありません。
ですから、BICYCLEとWynnBrownを天秤にかけても傾きはちょっとだけです。
そのちょっとだけの傾きにジェリーやGoldenのような異常価格が付く事が、僕には到底考えられないのです。
さらに、ジェリーという前例があってこそこのカードは売れたわけですが、そのお陰で「広まりすぎた」のではないでしょうか。
今や国内海外オークションに多く出品されています。多分ジェリーやGoldenが認知され始めた頃はこんな事は無かったでしょう。この点はT11の宣伝とその効果に舌を巻きます。
かつて、ジェリーが欲しくなった人は在庫ゼロの事実に仕方なく断念したかもしれませんが、WynnBrownが欲しくなった人は現在殆ど全員手に入れることができたでしょう。それこそアジアからヨーロッパにかけて、多くのマニアがネット通販で購入できました。
販売数の制限はありましたが、そのカードの存在を知った時から世界中の人々に購入することができたわけです。ジェリーとは違います。
BICYCLEとWynnBrownでは希少性が全く違います。ですから将来的に価格が上がることは確実でしょう。
しかし、その希少性を知り、欲しいと思う人、つまり結構なマニアは、現在既に大量に購入しているはずなのです。現在のジェリーのようになる前に。
ですから、「第二のジェリーだ」と言われて売られ続ける限り、このカードは「第二のJerry'sNugget」にはなり得ない、というのが僕の予想です。
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