こういう手順で
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<マニア向け>
<一般向け>
今日はこれをどう考えて作ったのかがメインのお話です。
以前作った簡単なサンドウィッチはDBカードを弄っていたらサラーっと出来上がりましたが、今回はデックが積み上がっているのを見て、その後の色々な発想によって出来上がりました。
なんでこういう事を書いておくかと言うと、後で自分で読んだ時に色々思い出せて、また別の方面に発想出来る可能性があるのと、読んだ人に「こいつはこういう想像をして作ったのか」というのを伝えたいからです。
僕、「想像する」というのはマジックに限らずとても大事なことだと思っているのですが(それは「本の勧め」でもちょっと偉そうに書きました。読んでくれるととても嬉しいです)、マジックの創作って、本や映像で得た知識をベースに、変なところから想像し始めることがありますね。
今回の動画のトリックはかーなーりマニアックですが(マニア向けのトリックなぞただ面倒くさいだけです)一番最初はこういう場面を見てから始まりました。
沢山デックを持っていると机の上がトランプで溢れます(比喩ではなく)。以前、こういう風にトランプ収納してるよーと書きましたが、あれはかなり綺麗にしてから撮ってますからね。
買ったトランプや弄っているトランプがそのままポーンと机に重なっていきます。
こんな風に。
それを見ていて「この3種類をビジュアル的に綺麗に並べられないだろうか」と思いました。
3色といえばSPLIT SPADES LIONもそうなのですが、あれって動画にすると(ちょっと遠目に見ると)青色と黒色が若干曖昧になるんですね。
なのでベタ塗り部分の多いWynnとかの方が3色並べると綺麗なんです。
今回新しいバージョンが出たというので、どうせ出品するし、なんか派手に使えないかなぁと思ったのです。
これが一番最初に考えたことです。
次に考えたことはトリックのジャンルです。
一番最初に浮かんだのはカラーチェンジデックでした。あれを3回色変えようかな、と。
でもそれって既にありそうな気がして(調べてはいませんが)ちょっとなぁ、と思ったのと、どうせなら「テーブルに3色を並べたい」というのがありましたから、1色で始まって1色で終わるのは止めておきました。
それに「色が変わる」という現象で僕が一番重要に思っているのは「色の変わったカード(あるいはボール、コイン)を実際に触らせられる」という点なのです。
目の前で色の変わったものを手に取れるというのはかなりインパクトあると思いますよ。
そんなことを想像していました。
で、暫く経ちました。
その後、たまたまTVを付けたらBS(確かね)で刑事コロンボがやっていました。
それを見てピーンときました。よく刑事もので「奴は黒か白か」的な表現がありますよね。黒と白、Smoke&Mirrorそのものじゃありませんか。
そこで思いついたのが「グリーンのデックから選んだカード2枚がブラックとホワイトに変わる」という現象です。
これでテーブルの上には3色が揃います。
でもそれだけだと味気ないのでストーリーを付けました。
そのまま、刑事もののストーリーです。
選ばれた2枚を犯人にして、ジョーカーを捜査官にして、サンドイッチで探し出します。これを捜査として行った後に、尋問としてジョーカーで挟むと、色が変わる(クロかシロか分かる)という物です。
これが2番目の段階で思いついた事です。
で、実際に作ってみました。割と簡単に作れました。
でも演じてみると結構地味だったんです。確かに3色揃いますが、「ほーら、こいつはシロ(無罪)でしたが、こいつはクロ(犯人)でしたー!」で終わるとなんか地味なんですよ。
もっとインパクトが欲しいなぁ、と思って、実は捜査官も色違いでした!というオチを思いつきました。
でもそれだと3色じゃなくて4色必要になるんですよね。それで暫く悩みました。
というか、もう考えるの止めようかな、と思いました。あんまり面白いの出来そうにないし。
で、また暫く経ちました。
でも何かどうにか形にしたいと思っていました。「捜査官ストーリー」で何とかいけると思っていたので、それを3色で行えないか考えていました。
で、ハッと思いだしたのがアガサ・クリスティの「オリエント急行殺人事件」です。まぁ、読んでいない方には意味が分からないと思いますし、無駄なネタバレにもなるのでちょっと省きますが。
これなら選ばれたカード2枚がクロでOK、そして捜査官はシロだ!
これでいけるなと思いました。頭の中では色々と手順が浮かびました。でも最後に並べるとやっぱりそれでも地味、というか好みじゃないのです。
色々位置を変えたりしましたが、どうにもピンときません。
ここから、「最後のディスプレイをどうするか」の考えに入りました。
結局、ピラミッド型がいいかな、と思い並べてみると、及第点。
あとはどうやってこの形にもっていくかです。
捜査官が「シロ」というオチは勿論最後なので、ひっくり返すのは最後です。
となると「犯人のカードを見つけ」(サンドイッチ)、「犯人はやっぱりクロでした」(ひっくり返す)、グリーンをリボンスプレッドして終わりに見せかける、ちなみに捜査官はシロなのです(オチ)。
これが妥当かな、と思いました。
で、選ばれるカードが3枚、捜査官2枚の図式が出来上がりです。
この素材を使ってカードを弄って出来上がったのが<一般向け>の手順です。
ここで一旦満足しました。
まぁ、トリックとしてどうかというと、ちょっと微妙だとは思っていますが。
で、その動画を作って、観て、まぁ、マニアですから変なこと考えるんですよね。
「もっと派手に、マニアックに作っちゃおうかな」などと。
捜査官のジョーカーを表向きのままでサンドイッチするのではなく、裏向き(裏が緑色というのが見える)で行えないかなぁ。
犯人カードも裏を一度緑色に見せたいなぁ。
などと考えました。
この辺からどんどんマニアックな想像をしていきます。
「BOSSとして赤いカードとか出てくればもっと派手だな」
「ジョーカーを裏向きでサンドイッチするには2枚じゃ無理だなぁ」
「DBカード2枚使っちゃおうかなぁ」(これが実際にどうなのかは動画から【ご想像】ください)
フェイスだけだと判断付かなくて相当混ざりました。
で、出来上がったものが<マニア向け>です。
マニア向け、という点では満足しました。
じゃ、これやるか?と聞かれたら即答できますね。
こんなのやるわけない。
確かに派手だけど、かなりメンドクサイうえに冗長だし。
でも確かに満足はできました。
あとはもっとマニアックな物を考えたりしてみてください(誰がやるか!)
如何でしょう。
積み重なったデックを見ることから始まったトリック作り、こういう風に僕は考えて、想像して、発想して作り上げました。
馬鹿だと思った方、多分それは正しいですよ。
もっと簡単でマニアックな手順が思いついた方、メールで教えてくださいね。