カード別使用感 Tahoe
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最後に2011年に発売された復刻版を載せました。
2008年最後のカード別使用感です。
去年末は「Wynn Brown」でしたね。今年は「Tahoe」です。
もう生産されておらず、新品状態のものはあまりオークションにも出品されないので手に入れるのは難しいデックかもしれません。
このデックもギリギリ未開封と言える状態でした。
「ARRCO Tahoe」
カード名の「タホー」は、アメリカのネヴァダ州にある有名な湖の名前です。綺麗だそうです。
高木重郎さんの「カードマジック事典」にはマジックに使用しやすいカードとしてこんな風に書かれています。
「カードマジックに使うカードは、薄くて、しなやかで、すべりのよいものを選ぶこと。
(中略)
世界中でもっとも広く使われているのは、アメリカのU.S.プレイングカード会社の、バイシクル BICYCLE、タリホー Tally-Ho、キャラバン CARAVAN という裏模様のものである。
また最近ではアメリカのアルコ・プレイング会社の、タホー Tahoe、カシノ CASINOも安価で使いやすいため使われている。」
カードマジック事典が出版されたのは1983年ですから、この時代あたりでTahoeというカードは使われていたようです。
なお、ARRCO Playing Card CO.は90年代に入る少し前に現在のU.S.P.C社に買収されていますので、Tahoeはもう作られていません。
現在でもARRCOというカードは作られていますが、U.S.P.C社製としての質です。
このTahoeは現在のU.S.P.C社製カードとは全く違う質です。昔のU.S.P.C社製とも違いますね。80年代に作られていたU.S.P.C社以外のトランプということです。
なので、80年代からカードマジックをしていた愛好家はよく知っているデックかもしれませんね。ちなみに、Richard Kaufman氏はこのカードが好きだとフォーラムで発言しており、実際に彼のDVD「On The Pass」でも使用されているそうですよ。
カードマジック事典では「安価で~~」と紹介されていますが、今手に入れようとすればワンデック50ドルは下らないでしょう。コレクション向きビンテージデックだと思います。
今回はギリギリ未開封の青を触ってみました。
ケースの上部に「Tahoe」、中央のスペードマークの中に「No.84 POKER」の文字。
下部に「CLUB」、「PLAYING CARDS」と書かれています。
[ケース上下]
ところでこのデックですが、実はケースの蓋が開いています。シール切れています。
使用感に載せるデックは基本的に未使用の新品を用意する方針なので、これが中古だったら載せられません。
でも大丈夫。中身を出せばこの通り!
ジャーン
このデックはカードがアルミホイルのようなものにしっかりと包まれているのです。
昔のデックを空けると中のカードが紙で包まれている事があります。同じようにTahoeもカード自体が包まれているのですが、その材質がアルミホイルのようなビニールのような。
スペードのAは中央にTahoeの文字。裏模様はBICYCLEと同じくらいの色合いで綺麗な模様が描かれています。
僕の嫌いなジョーカーデザインです。この顔っ!
開封直後のすべり具合
「★★★★」(4)
滑りすぎは無く丁度いいように感じたのですが、空けた直後は「滑らなすぎ」かも。
少し慣らせばちょっとだけマシになるのですが、最初は全く滑りません。
カード同士がくっ付いているような感じ。
裏模様の見た目
個人的に「★★★★★☆☆」(7)
マジック用として「★★★★★」(5)
個人的に好きな模様です。どこか古臭いような懐かしいようなイメージが喚起されました。
上下に描かれているのは多分、花だと思います。上下対称白枠あり。カラーは赤と青があります。マジックに使うには申し分ないと思いますが、ちょっと地味かもなぁ、と僕は思いました。
スプレッドのやり易さ、広がり具合
「★★」(2)
驚くほど滑りません。
相手にカードを引かせようと両手でスプレッドしても、所々でカードが2~3枚くっ付いてしまったりするくらい滑りません。
カードが慣れてくれば最初よりマシになりますが、マット上でも綺麗にスプレッドできないくらい、カード同士のすべりはありません。
ただ、Geniiのフォーラムでは「ファンが美しい」とか「なめらかに滑る」と書かれていたりするので、当時はもっともっと良い状態のTahoeだったのかもしれません。
あるいはもっと使い込まないとダメなのかも。
【2011年追記】
この青がダメだっただけで、ちゃんと滑る新品Tahoeも確認しました。
滑り過ぎず、ちょっとまったりしていますが、非常に扱いやすい滑り具合です。
リフルシャフルのやり易さ
「★★★★★」(5)
とてもよい弾力がありシャフルしやすいですね。
そろえるときは若干の抵抗感があるものの、圧力が掛からなければカード同士の摩擦も少ないのでスッと揃えられます。
ファローシャフルのやり易さ
「★★★★★☆☆」(7)
側面がとってもなめらかに裁断されており抜群にかみ合わせやすいです。
パーフェクトファローも余裕余裕。ただ揃える時の抵抗感が少なからずあります。
カードの硬さ
「★★★★★☆」(6)
BICYCLEよりも少し硬く弾力も強いです。昔のU.S.P.C社製カードのような強い弾力ですが、カード自体がとっても薄いため、それほど硬く感じられません。
BICYCLEよりちょっと強い弾力、くらいの印象でした。
エンボス加工の有無
有り
昔のU.S.P.C社製とは違い、裏と表で同じエンボス加工が施されています
現在のBICYCLEのエンボス加工を限りなく浅くしたような加工で、両面とも強いペタ付きが感じられます。手に吸い付く、というと良い印象かもしれませんが、カード同士すべらないのでむしろ扱いにくくなっていると思いました。
手前がTahoe、後ろがジェリーです。
何層構造か
3層構造になっています。
Absolut並みに薄いカードです。
値段との釣り合い
実際に使用するデックとしてではなく、コレクションとして買うべきカードだと思います。
総評
フェイス面は現在のU.S.P.C社製ARRCOと同じです。STUDやStreamlineも同じフェイスデザインです。
すべり具合以外はとても良い質だと思います。
かなり薄く、Old STUDやAbsolutと同じ厚さです。それほど薄くてもBICYCLE同様のしなやかな弾力ですので耐久性もあるでしょう。
古いデックにしては珍しく「反り」が無かったので驚きました。
普通Old Deckは、ジェリーやGolden、Old STUDやBee67などは最初から反りの付いた状態が多いのです。このTahoeは完全に平たい状態でファローシャフルもしやすく、扱いやすいと思いました。
これは改善されるのかどうかまだ分かりません。もしかしたら扱ううちに改善していくのかもしれません。その兆候はまだ見られませんが。
なにぶん生産されてから随分経った古いデックですので質に変化が現れたのかもしれません。
でもまぁ、これはこれで特色ある面白いカードでした。
【2011年にデザインを復刻して販売されました】
2月現在は黒と、反転させた白のバージョンが発売されています。
価格は8ドル弱と、とてもお高い値段が付いています。
ケースはTahoeと全く同じようにデザインされています。
エースや裏模様は通常のTahoeと同じですが、ジョーカーはデュプリケイトとなっており、DBカード・BFカードが1枚ずつ入っています。宣伝カードの類は入っていません。
非常に特徴的だったTahoeの表面加工は再現されず(当時はARRCO社だったので当たり前ですが)、普通のエンボス加工が施されています。
奥がTahoe、手前が復刻版Tahoeです。
滑りは良いのですが、柔らかく、現在のBicよりは若干弾力がありますけど、それでもヘニャヘニャしてますね。Tahoeの裏模様を模したBicという感じ。
裏模様はTahoeのそれですが、質に関してはタホーのタの字も感じられませんでした。
これで8ドル弱というのはちょっとどうかと思います。4ドルとは言わないけれど、せめて5ドルだろ、と僕は思いました。
Tahoeの裏模様大好き、という人にはおススメです。
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